射出成形の大敵。「黒点」に抗う。
こんにちは。皆様いかがお過ごしでしょうか。
ここ最近はブログの更新に割ける時間が比較的多く取れる
ため、以前よりは更新頻度が高く推移しております。
心なしか閲覧数もやや増えたような気がしております。
これからも有益な情報を発信し、多くの皆様に見ていただける
よう継続していけたらと思います!
成形不良の王者。「黒点」
さて、今回は成形不良の一種、「黒点」について少し書いていきます。
「黒点」とはどんな不良の事でしょうか。
まずは写真をご覧ください。
![黒点サンプル画像](https://www.umeng.co.jp/wp-content/uploads/2022/11/IMG-8854-1-276x300.jpg)
いかがでしょうか。半透明の製品の内部に黒い異物が確認
できるかと思います。
この例は異物のサイズが大きく色も黒々していて分かり
やすいですが、通常は小さく、色も薄いものが多いです。
異物の正体
では、この異物の正体はなんでしょうか。
一言に異物といっても、発生原因はいくつかあります。
単純に、材料投入までの工程で金属片等の成形温度
でも溶けない異物が混入してしまえば、それがそのまま
製品に混入して出てきてしまいますし、別材料等の
溶けるものであれば、模様や変色となって出てしまいます。
![異物混入不良例](https://www.umeng.co.jp/wp-content/uploads/2022/11/IMG-8855-300x189.jpg)
これとは別に、成形機のシリンダ内で自然発生する異物
もあります。
日々の終業時の処理においては各社それぞれやり方は
異なるかと思いますが、一般的にシリンダが空の状態
の時に発生する事が多いといわれています。
シリンダ内が空になるとシリンダ内に空気が流れ込み、
スクリュシリンダに残留した樹脂と反応し、酸化→炭化
という流れで黒いオコゲのような異物(黒点)が発生します。
この異物は通常、スクリュシリンダに張り付いていて、
しばらくは成形品に出てこない事もありますが、炭化物が
蓄積して、射出時等に剥がれて被膜が壊れだすと次々に
成形品に出てくる事があり、そうなると不良率が一気に上がります。
ここまでくると他の不良とは異なり、成形条件で対処することは
不可能であり、多くの労力と時間を消費する成形機の分解清掃
を考えなくてはなりません。
これが上で成形不良の「王者」と表現した所以です。
黒点発生時の対処法
弊社でも以前は三ヵ月に一回程度成形機の分解清掃
をしていました。もちろんその間は稼働が止まるわけ
ですから、生産性に悪影響を与えますし、それなりに
重労働でもあります。
何かいい方法はないかと模索している時に出会ったのが
「アサクリン」というパージ剤でした。
その中でもIMXというグレードのものが弊社にとっては
革命的でした。
使用方法は一般のパージ剤(NewEx)で材料を完全に
排出したあとにIMXを投入し、シリンダ内をストローク一杯
にして、1時間程滞留させ、スクリュシリンダにこびり付いた
炭化物をふやかした後、またパージ剤で排出するといった
具合です。
これの効果が抜群で、排出されたものをみると、炭化物の
塊が多く確認できます。
![](https://www.umeng.co.jp/wp-content/uploads/2022/11/IMG-8852-262x350.jpg)
処理後は発生していた黒点はキレイになくなるから
驚きです。
担当の方によると、夏季休暇等、長期で停止する場合
にIMXに置き換えておくと効果的です。との事でした。
弊社で成形する製品はほとんどが半透明のものなので
黒点が目立ちやすく、黒点による不良率が課題であり
ましたが、こちらを使用してからは大幅に改善されました。
最後に
いかがでしたでしょうか。
終盤はアサクリンの宣伝のようになってしまいました
が、間違いなく弊社ではアサクリン、特にIMXという
グレードに助けられました。黒点の不良にお悩みの
企業様がいらっしゃいましたら一度試してみてはいかが
でしょうか。
それでは、また。